ジョギングと鼓動、そして緊張ということ

ドイツの音楽大学での初めての卒業試験を半年後に控えていた頃のお話です。私の勉強していた音楽大学の学士卒業試験のスケジュールは2日にわたり、1日目に45分間のコンサート形式、2日目は45分間のレパートリー部門、オーケストラスタディ部門、初見演奏、2週間前に渡される新曲をレッスンなしで仕上げる、というなかなかに盛りだくさんな内容です。この卒業試験を無事に乗り切るためには、体力的、精神的にタフであることが求められますが、私も例に漏れず試験を無事乗り切るために体力をもっとつけたいと思っていました。一番お金のかからないジョギングを始めました。先日のブログ「壮大なる散歩道」でも紹介しましたが、このコースを一周、約1時間の道のりです。

上り坂や下り坂、大きなカーブがあったりと、ジョギングのコースとしてはなかなか走りがいのあるものなので、体力はずいぶんとついたような気がしました。有酸素運動で体力をつけたことは、私の卒業試験の結果にも大いに役立ったと思います。そして、さらに数年過ぎた頃、何かの記事で見かけたテーマが気にかかりました。「緊張している時の心臓の鼓動は、ジョギングをしている時のそれと同じだ」という内容です。

音楽家、演奏家は舞台の上に立ってお客様の前で演奏して聴いていただく中で、個人の差などはありますが、大なり小なり「緊張」「あがり」と格闘しています。なぜかと言いますと、普段練習している状況と、本番の状況では自然と「緊張度が変わってくる」ためです。普段の練習から本番(お客さまが聴かれている)を想定して予行演習できれば良いのですが、なかなかそうもいきません。私が目にしたこの記事は、「緊張した時(精神的)とジョギングをした時(身体的)の鼓動は同じ速さ」という内容で、自分の意思でジョギングをする事で緊張した時の状態を作り出して、それに慣れるという事が可能になるわけです。

なるほど。私が舞台の上で緊張している時の心臓の鼓動はこのようなペースなんだな、と冷静な気持ちの時に感じる事ができ、それを受け入れるという事、さらにはその状態に慣れていく、ということの大切さを知りました。

もちろん、本番を重ねていく、経験を積んでいき慣れていくことで緊張を緩和していくのも大切な手段です。それに加えて、私にとってはこの「ジョギングの時の心拍数」と「本番で緊張した時の心拍数」がとても似ているということを知る事ができたのは良かったと思います。余談ですが、私は今日本に帰って、自分の車を運転しています。そのために免許を取ったのですが、その際の実技試験、筆記試験は久々にとても緊張しました。さらに運転をするようになって、初めて通る道、ルートなど「自分にとって新しい事、リスクをともなう事」に直面した時、この「心臓の鼓動が速くなる」のだというのを味わいました。つまり、私にとってまだ経験したことのない本番と、まだ通ったことのない道を車で行くというのは、同じような緊張度ということなのですね。皆さんは、緊張する場面に直面した時、何か自分なりの対処法などお持ちですか?

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