「姿勢」について。演奏するときの立ち姿。

みなさんは、オーボエを演奏している時の姿勢について何かこだわりとかありますか?今日は、演奏するときの姿勢についてお話ししようと思います。(ここでお話しするのは、立って演奏するときを基本とします)

私は母校の音楽大学で勤務していたこともあって、様々な人たちの演奏を見てきました。それ以前に、大学で学んでいるときにとても憧れていた先輩たちの演奏はもとより、その姿、動き、立ち方などもよく見ていました。
まず演奏している人を見て、その人の支えがしっかりと低く安定しているか、支えが上の方に上がってしまっているかよくわかります。支えが上がってしまっている人は、足元がしっかりとしていません、どことなくふらふらとしていて地に足がついていない感じなのです。
逆にしっかりと支えが下がっている人の立ち姿は、どっしりとしていて足と床である地面がしっかりと結びついているように見えます。これは、自分が舞台の上に立って演奏する時も違いをはっきりと感じることができます。
では、私なりのよい姿勢をたもつために気をつけているポイントについて下から順にお話ししましょう。
地に足がついている感覚として意識しやすいのは、親指の付け根、そして土踏まずです。これらの位置がしっかりと意識されていると、自然に地に神経がいき重心が下がってくるのを感じることができます。ここに親指の付け根がある、ここが土踏まずだ、と感じるだけで違いが出てきます。
少し上の方にいきましょう。膝、そして両足をどのように開くか。両足の開き方は、「程よく」という言葉がぴったりです。力みすぎず、楽に立てる開き方です。そして両足を平行に真っ直ぐ並べるよりは、どちらかの足をほんの少し前に出してみるとよいと思います。
なぜか?
これは、ボクシングの試合中の選手の姿勢を思い浮かべるとよくわかります。ボクシングの選手は、戦う相手を目の前にして両足を平行に真っ直ぐ直立はしていませんね。少し膝を曲げてどちらかの脚をほんの少し前に出して腕を構える、いわゆる「戦闘態勢」をとっています。演奏する私たちも、「戦闘」とは違いますが、集中力と瞬発力と一瞬のパフォーマンスに全神経を集めるという意味ではよく似ていると思います。膝をぴーんと張り直立、両足も真っ直ぐ揃えてというまるでお城の入り口に立っている衛兵のような姿勢だと自由な演奏はできそうにありませんものね。
さらに上に向かってお腹、腰から背中にかけてです。お腹に関しては前にお話ししたように腹筋に無理やり力を入れる必要はありません。むしろお腹の後ろまわり、そして腰から背骨の始まるあたりにずっしりと重みを感じてみてください。そしてその姿勢のままで体をほんの少しですが前後左右に揺らせてみてください。そのうちに、あ、この位置が一番心地うよいな、楽だな、体の重みを低く感じられるな、という点を感じるようになります。自分が好きなポジション、立ち方=演奏するために安定した姿勢ということになります。そこが自分にとっての「中心点」「頼りにするべき点」です。
基本はここまでです。足の裏から始まってこの腰から背中にかけてゆったりとして重みを低く感じることができれば自分にとっての心地よい演奏姿勢がほぼ完成します。なぜそこから上について書かないのか、それは今まで書いた部分が一番大事だからです。このずっしりとした姿勢を保って活用できれば、息のスムーズな循環を感じることができ深く吸うことも意識しやすくなり豊かな響きへとつながっていきます。

この姿勢をとるようになったらよくわかるのですが、これは「侍の立ち姿」と似ています。現代で言えば「弓道」で姿勢を整えている時とも言えるでしょうか。足の裏はしっかりと地面についていて、丹田あたりに意識を持っていく、自ずと重心は下がっていき、呼吸はゆっくりと深くなり精神は集中していきます。昔から知られている、かつて私たちが日常的にとっていた、また身近に感じていた姿勢こそが現代の私たちの「演奏するにあたっての理想の姿勢」と言えると私は思っています。
今日はこの辺で。今夜もありがとうございます。
Viel Spass und Freude am musizieren!音楽に楽しみと喜びを★(2020年1月7日)

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