【リード】機能的に判断する、自分の感覚を信じること

①「自分が気にするほど、遠くで/離れて聴いている人にそこまでの違いは感じられない」

②「音が良い、というのは最重要事項ではなくて、いくつかの要素がきちんと機能していて、そのさきにくっついてくるオマケのようなもの」

③「結局、本人が自由に演奏できていれば、音色とかは聴いている人にはそこまで気にならない/気にならなくなる」

④「耳、耳、耳、とにかく聴くこと、自分の音を聴くこと、耳を開くこと」

今日はまず最初に、お伝えしたいことをはっきりと文章に表してみました。一つずつ詳しくお話ししていこうと思います。

「自分が気にするほど、遠くで/離れて聴いている人にそこまでの違いは感じられない」 友人の卒業試験にトリオソナタで共演した時の話です。自分ならまだしも、友人の卒業試験なので失敗するわけにはいきません。いくつか状態の良いリードを持参して、舞台の上で吹き比べてみて、ファゴットの教授に「どのリードが良いですかね」と聞いたことがありました。同じダブルリードだし事情もよくわかっているだろうと期待していたのですが、返事は「どれが良いか、というよりも君がどれが一番心地よいと思うんだい、それが一番良いんじゃないの」というものでした。どう聴こえるか、ということばかり気にして自分の感覚を信じていなかった気がします。自分の音がどのようにホールや空間に鳴っているか想像するのはとても大事ですが、聴いている相手にとっては奏者が自由に、満足して吹けるリードが一番なのですね。

「音が良い、というのは最重要事項ではなくて、いくつかの要素がきちんと機能していて、そのさきにくっついてくるオマケのようなもの」 かつて、オーボエのレッスンを受けたときに「どのリードの音が一番暗めに聴こえますか」と聞いて、師匠に言われたことです。「明るいか、暗いかというのは一番大事なことではない、まず機能のことを気にしなさい、そこから自由に自分が演奏できているかを判断しなさい、その後についてくる音の特徴は、少々明るくても、暗くても、そういうキャラクターなのであってオマケなんだよ」これは、かなり優しく口調を書き直していて、本当は色々と難しいところもあり厳しい師匠でしたが(苦笑)、その頃から私はリードは機能を最重要視するようになりました。明るめか、暗めか、というのはリード材の性質によるところが大きいです。すなわち、私たちの手では変えることが難しい分野になってきます。では、何を最重要視するべきなのか。

・安定した音程

・スムーズな発音

・適度な抵抗感

です。これらがうまく機能していると自由でのびのびとした演奏ができ、結果的に聴いている人にも心地よく聴こえるのです。そして、上記の項目をうまく機能させるために必要な要素が

・適度な振動

・適度な抵抗感

・先端部分のバランス

・適度な張り

となるわけです。適度な、と書いた理由は、人によって好みの程度が変わってくるからです。この4つの項目に関しては同じ【リード】カテゴリーのブログで詳しく書いているので参考になさってください。リードはもちろん「良い音」に越したことはありませんが、ではその「良い音」を実現するためにはどんな機能を達成していけばいいのかな、とより具体的に物質的に知ることはとても大事なのだと私は思います。

「結局、本人が自由に演奏できていれば、音色とかは聴いている人にはそこまで気にならない/気にならなくなる」 というわけで、リードがうまく機能していて本人が自由に演奏できるようになると、音色が明るい、暗い、というのはさほど気にならなくなりその人のキャラクターとなるのだなと思えるようになります。

「耳、耳、耳、とにかく聴くこと、自分の音を聴くこと、耳を開くこと」 とにかく耳を開く、聴いて、聴いて、聴いて。これは私がいつも言われ続けてきたことでした。自分の音、演奏を録音するのはとても良い方法です。自分がどんなふうに演奏したか記憶を辿って想像し、次に録音を聴いてみます。最初は「え、自分ってこんなふうに吹いているの」と思うでしょう。けれど次第に耳が開いていき、演奏中に自分の音が少しずつ聴けるようになると、録音とのギャップが徐々に縮まってきます。ギャップは縮まれば縮むほど耳は鍛えられていることになります。特に広い部屋やホールなどでは良いトレーニングになります。私もそうやって何度も何度も録音して聴いて自分の想像と比べていき、耳を鍛えていきました。録音は自分にとって最大の先生でもある、と私は思います。

今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます。

Viel Spass und Freude am musizieren! 音楽に楽しみと喜びを★

(2020年11月3日)

コメントを残す