【大事なことば】⑨ 緊張を良いものにするために〜その3『脱力について』〜

「緊張して体がこわばってしまった」、「もっとリラックスできたらよかったのに」大事な本番でうまくいかないことはあります。そんなときにはこのように思うのも当然ですよね。では本当に体がリラックスした状態だったら良かったのでしょうか。「脱力について」。今日のテーマです。

最初に私の中での答えを書いておきますと、「理想的な状態はスタート前のランナー」となります。どういうことでしょうか。

ドイツの音楽大学で学生だった頃、カリキュラムの中に Probespiel Trainig (オーディショントレーニング)というものがありました。その中で、あるメンタルトレーニングで体験したことです。

オーケストラのフルート奏者でメンタルトレーニングのコーチもしてらっしゃる方の講座で、ストレッチやヨガを取り入れた方法で全身をリラックスさせてオーディショントレーニングを行おうというものでした。ヨガマットの上に寝転がり、呼吸を整えてリラックスしていきます。意識が遠のきそうになりながら(眠りそうになりながら)ストレッチなどを終えて、いざ、オーディショントレーニングはスタートしました。

その結果はどうだったと思いますか?上手くいったでしょうか。

答えは「ノー」です。

今にも寝てしまいそうな頭の中はぼーっとしています。体は確かにリラックスしていますけれど、言葉を換えれば「力が入らない」「肝心のパワーが出てこない」状態でした。こんなテンションで勢いよくモーツァルトを吹けるわけがありませんでした。そもそも「眠い」と思っているのにフルパワーで演奏など到底無理です。このことからわかったのは、「体がリラックスし過ぎたら、逆にパワーを効果的に出せない」ということでした。

何度か書いたことがあるのですが、音楽を演奏するということはスポーツの世界と似ています。ここぞという時、瞬間でベストのパフォーマンスをすること、できることが理想だからです。100メートル走のスタートを静かに待っている選手、スケートリンクに入って短いアップの後に順番を待ている選手、彼らの状態と私たち演奏をする立場の人たちの体の状態は似ていると私は思います。静かに落ち着いて、とても集中していて、いつでもマックスのパワーを出す準備ができている状態です。だから、体がリラックスし過ぎていると、これらの良い状態に持っていくのがとても難しいのだと私は体感しました。

では初めの疑問に戻りましょう。そして逆の発想でみていきましょう。

★緊張して体に余計な力が入ってしまった → ★もっとリラックスできれば良かった → ★でも、集中すべきところはして、あとは力を抜きたい → ★どうすればいいのか → ★力を抜きたい場所というのは、意識すればするほど力が逆に入ってしまいがち → ★では逆の考えで → ★力をこめる、意識をもっていくべき場所をはっきりと定める → ★そうすれば必要な所は意識できて、それ以外の所は意識から外れるので力が抜けやすくなるのでは → ★落ち着いた心持ちで、重要な所ははっきりと力が込められていて、いつでもスタートできる感じ

というのが私の考えです。では、実際に私はどの部分に意識をもっていくのでしょうか?どの部分が重要なポイントになるのでしょうか?これはすでにお話しした「支え」のテーマと重なるのですが、次回の記事で再びお話ししていこうと思います。今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。

Viel Spass und Freude am musizieren!! 音楽に楽しみと喜びを★

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