【大事なことば】「ネガティブなことは言わないでポジティブなことを」これってどうなの?

昨今の教育の仕方が変わりつつあることは皆さんもよくご存知だと思います。

ネガティブな事ではなくポジティブな事、できる事をほめて伸ばそう!という感じです。

これは楽器の演奏においてうまく機能するのでしょうか?

ポジティブな事、出来ることを中心に伸ばしていって結果的にはよくなるのでしょうか?

私は「そうとも限らない」と思います。

デトモルト音楽大学で講師をしていたとき、定期的にクラスの試演会があり、学生一人ひとりの演奏について細かく批評をする必要がありました。それに対して異なる意見があれば議論を交わす、そういう環境でした。

目の前で演奏しているのを聴く/見ると、私は自分も吹いているような気持ちで聴くのですが、その場合に感情が入り過ぎてしまうのか何なのかわかりませんが、苦しそうだ、足がおぼつかない感じ、支えが上がっている感じ、という感覚をすぐに感じられるようになりました。その逆で、息を自由に使いこなし体の動きも音楽と合致して自由にのびのびと演奏している姿を目の前にすると一緒に聴いてて心地よくなってきます。

このような感覚は大小の差はあれど聴いている人(聴衆)は感じています。指導する側になるとそれを詳しく分析してより良くする為に伝える必要があります。

この時、息が苦しそうだった、支えがおぼつかない、というネガティブですがとても大事なことを伝えずに「音が大きくてよかった!」「音楽が伝わってきた!」というほめるだけの講評で本当にその奏者は成長するでしょうか?

私の答えは「しない」です。

何かがうまく機能していないならば、その現象、原因、改善方法を徹底的に見つけ出す必要がある。ではネガティブな事をどうやって改善の方向へ向かえるようにするのか?

私のなかの答えは「言い方、言葉の選び方」です。

これは以前のブログでも書いた事なのですが、想像してみてください。

あなたは2番オーボエでppの低音を上手く出す必要がある、けれども失敗して暴発してしまった。そこで1番オーボエから次のような言葉をかけられます。どちらがあなたにとって今後の成長につなげることが出来ますか?

A: 音が大きすぎる、もっと小さく吹いてください

B: しっかり吹いてくれて構わないよ、加えて柔らかく、周りの音たちに馴染ませるように耳をしっかり開いて色のある音をイメージして、そして発音は優しく優しくしてごらん

考えるまでもありませんね。

このBパターンは私がオーケストラで働き始めた時に実際に尊敬するロシア人の先輩から言われた言葉です。小さく!と考える必要はない、そのかわり他の要素から音そのものを柔軟性と色彩豊かな美しい響きに持っていかせる、そのための言葉選びの大事さを学んだのでした。萎縮してしまって音そのものが出ない、出たとしてもただの「音」で周りに馴染むはずもない、というのと豊かな響きで周りのハーモニーに彩を加えられる「音」はA、Bどちらの声かけをすれば良いのか考えるまでもありません。

目の前での演奏に関して「なぜ○○が出来なかったのか?」と聞いたらその時点でネガティブな声かけになり相手は萎縮してしまいます。息の流れが最も大事な管楽器はこの時点で息をのみこんで支えが上がってしまい演奏が困難になりかねません。恐れることなくゆったりと流れのある息は最も大事なポイントで、それは気持ち一つでガラッと変わるものです。上のBパターンの声掛けに続いてアドバイスをするならば「○○についてどう感じた?」→「何でそうなったんだろうか?」と一緒に考える。→アドバイスとして「こんな事を試してみたらどうだろうか」という流れが良いのかな、と思います。

演奏を上達させたいと思うとき、自分が出来ていないことに向き合って改善していく必要は必ずあります。出来ることは大いに誉めた上で、出来ないこと/ネガティブなことは、ネガティブに聞こえないように言葉を選んで相手に伝える。

音楽に限ったことではありませんね。

色々な場面で試してみてください。今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。

Viel Spass und Freude am musizieren!! 音楽に楽しみと喜びを★

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