【イングリッシュホルン】音量とは違う…

前回は「ソロ・イングリッシュホルンのオーディション」を受けに行った時のこと、そこで感じたことをお話ししました。オーディションで聞いた講評からわかった事…

「大きいというだけではなく遠くまで音が届くことが大事」

これが今日のテーマです。どういう事でしょうか。少し横道にそれますが同じテーマで鮮明に記憶に残っている事をお話ししましょう。その上で具体的にどうすれば良いのかな、という疑問から始まり色々と葛藤した事、私なりに身につけた事などお話ししていく予定ですが、今日はまず「大きいというだけではなく遠くまで音が届くということ」についてです。

デトモルト音大の声楽の教授をされていたThomas Quasthoff (トーマス クヴァストホフ)という方がいらっしゃいます。サリドマイドという障害を持ちながら、その素晴らしい歌声で大活躍されている方です。Quasthoff教授がデトモルト音大のホールで、シューベルト作曲の歌曲「冬の旅」を演奏されました。その時、私はホールの最後列、更に席が足りなかったために臨時のパイプ椅子で席を確保していました。

その楽章はおそらく「静かに」表現する箇所だったと思います。Quasthoff氏の歌声はホールの最後列にいる私の耳元で「ささやかれているような」響きでした。遠くにいるはずのQuasthoff氏のささやく歌声が耳元で聴こえる…f (フォルテ)のような音量の大きな箇所ならまだしも、その繊細で言葉をささやくような美しくも儚いp (ピアノ)の響きを最後列に座っている自分の耳元に感じる。

衝撃でした。どうやってこのようなことが出来るのだろう…

それは、残念ながら今でもよくわからないままですが、その鳥肌が立つような空間を味わい「音量だけではない、音が響きとなって遠くに届くということは一言に音量だけで解決できるものでもないのだな」と実感できたのでした。

イングリッシュホルンも同じようなものではないのかな、と思います。比較的編成の大きいオーケストラの中で、際立つ美しいソロを任され朗々と奏でるイングリッシュホルン。その柔らかく牧歌的な「音」とは対照的ともいっても良いほど、その音と響きは目立って際立って聴こえるべき存在です。

それは音量だけで解決できるものではどうやらなさそうだ…

今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございます。

Viel Spass und Freude am musizieren.

音楽に楽しみと喜びを★